日々の記
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12月

2018.12.31月

今年をふりかえって

年越し蕎麦も食べて、いよいよ今年もあと数時間。仕事を中心に、今年をふりかえってみようと思います。

1月
2011年から8年間続けてきた、神楽坂フラスコでの「旧暦のある暮らし」展を、今回でしめくくりとしました。現実の空間で、手しごとのものを伝え、届けることを、素人の自分がすることには自ずと限界があり、できることはしてきた、と思うまでに至りました。omotoの鈴木智子さん、俳人の宮本佳世乃さん、漆木工作家の角俊弥さんや雑穀の種まきびとの大城千春さんたちと一緒にイベントをできたこと、木版画の沙羅さんと『季節を知らせる花』以来久しぶりにご一緒できたことなど、うれしい展覧会でした。

『天然生活』で、この1年間、「手しごと歳時記」(写真/桑島薫、高見知香、當麻妙、松井寛泰)を連載する機会を得られたのは、自分にとって大事なことでした。『サルビア手づくり通信』、『川口の匠』という2冊の本でやり残した仕事でした。「旧暦のある暮らし」展と入れ替わるように、今年一年は作家の仕事場を訪ね、取材し、随筆にまとめる仕事をすることができました。たくさんの方々に協力いただけたおかげです。感謝。

『PHPスペシャル』1月号から12月号まで、エッセイ「12か月の記憶を連載しました。それぞれの月にまつわる思い出を綴りました。どうしてこんなに些細なことを覚えているのだろう、と我ながら思いつつ。斉藤知子さんがファンタジックな挿画を描いてくださいました。

今年で3年目になりますが、沖縄県立芸大の芸術学専攻の1年生たちと詩の実技研究をしました。火曜日から金曜日まで三週間みっちりと、詩。午後1時から5時半までの長丁場です。すうごい濃密な詩の時間。最後は手製本で、小詩集を作って完成。年に一度の非常勤講師をしました。

2月
evameva yamanashiの素敵なギャラリーで、立春にまつわる話や、みんなで 一緒に詩のリーディングをできたことは、幸せな思い出です。しずかな気持ちのいい空間で、二階の窓ごしに夕暮れの稜線を眺めたのもありありと覚えています。

4月
宮城県の岩出山小学校の校歌を作詞しました(作曲/大場陽子)。校歌を作詞する仕事は、これが初めてです。みんなどんな毎日を過ごしているだろう。幸せな小学校生活でありますように!

月刊絵本『こどものとも(年長向)』の付録冊子「絵本のたのしみ」にて、「季節のうたごよみ」の連載2年目を迎えることができました。ぼく自身が幼い日に、毎月『こどものとも』と『かがくのとも』を楽しみに過ごしていたので、毎月、いま子育て中のおかあさん、おとうさんに文章を届けられることに感謝しています。毎回、素敵なふしぎなイラストをカシワイさんが手がけてらっしゃいます。

5月
新刊『一日の言葉、一生の言葉 旧暦でめぐる美しい日本語』ができました。一日、一月、一年、一生という時にまつわる語の蒐集本ですが、詩や俳句、短歌をはじめ映画や漫画のセリフや歌の歌詞など、大好きな作品たちを引用したアンソロジーとしても楽しんでいただけたら何よりです。

俳誌『オルガン』13号にて、宮本佳世乃さんと対談しました。宮本さんは、白井が尊敬する俳人です。これまで子規たちの時代の句を読んで、満たされていた自分が、現代の俳句に惹かれたのは、宮本さんの句に出会ったことが契機となりました。対談では、1月のトークに続いて、話ができて、ありがたくも大切な機会をいただけました。拙詩集『生きようと生きるほうへ』についても話をしています。

下北沢B&Bで、俳誌『オルガン』の鴇田智哉さん、福田若之さん、宮本佳世乃さんと刊行記念トークできたのは、幸せな時間でした。ほんっっっっとうに、三人の方々みなさん、すんごい素晴らしい俳人です。

8月
那覇で詩のワークショップをはじめました。まさか県外からの参加者が半数を超える……とは思いがけない展開でスタート。その後、10月、11月、12月と続けられています。来年も、ふた月にいちどくらいできたらな、と願っています。

9月
那覇のギャラリーtomariで「時間の芸術/芸術の時間」というトークイベントを行いました。敬愛する美術批評家の土屋誠一さん、作曲家の鶴見幸代さんと三人でがっつりと濃い時間を過ごせて、、ぼく自身かなり踏み込んだ詩の話を、リーディング中心にすることができて、最高に幸せな会でした。

山口のわっか屋さん10周年記念で、詩のことや暮らしのことについて話をしました。大好きな角俊弥さん、麻衣子さんご夫妻に、愛犬のドッグ、大城ちーちゃんたちと一緒に、幸せな会でした。どうもありがとうございました!

10月〜11月
那覇のジュンク堂で、ミュージシャンのアラカキヒロコさんと貘さんの話をしたり、東京・駒場の七草さんで、敬愛する料理家の前沢リカさんと、十三夜の話をしたり、詩のリーディングをしたり、那覇のAKOH KLOHさんで、島の風の話をしたり。とくに、沖縄ではほとんど家にこもりきりで仕事ばかりだったのですが、人との交流をもう少し、とワークショップだけでなく、イベントをする機会を持てたのは幸せな、ありがたいことでした。皆様に、感謝を!

毎年作っている「歌こころカレンダー 自然 二〇一九」ができました。今回から、製作を美篶堂さんにお願いして、これまでといろいろなことが変わり、新しい一歩を踏んだ、と実感しています。

12月
那覇で鶴見幸代さんのコンサートがあり、白井作詞・鶴見さん作曲の「サガリバナ」初演されました。我々で作った童謡「どっちかな?」、「うみをわたって」も再演され、10年以上もの間、沖縄で作曲活動をしてきた鶴見さんの作品を聴くことができ、充実した時間でした。

今月末発売の『現代詩手帖』1月号 詩誌月評を担当しています。これから一年間、全国から届いた詩の同人誌を受けとり、月評を綴ります。どこまで自分が詩を読めるのか、どのようにその詩を語る言葉を見つけられるのか、心して取り組みます。

以上、かけ足ですが今年をふりかえってみました。まだまだあったような気がしつつ、ああ、こんなふうに一年間歩んできたんだな、と感じつつ、何はともあれ、皆様今年もどうもありがとうございました。あと一時間足らずで、年が変わりますが、どうぞよいお年をお迎えください!

2018.12.9日

ものとの付き合い

来年の『現代詩手帖』で、詩誌月評という詩の同人誌をレビューするコーナーを担当することになりました。今月末発売の1月号ができあがったら、あらためてお知らせしますね。

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最近、携帯電話の機種を変えようかと、いろいろ調べているのですが、本当に選択肢が少ないですね。主に自宅で仕事をしているので、ネット環境はパソコンになり、ほとんどスマホは使いません(いちど2年間使ってみて、あ、いらないんだな、と分かりました)。むしろバッテリーがすぐに切れてしまうので、出張のときなど、いま使っているフィーチャーフォン(ガラケー)のほうが3日くらい保つので重宝しています。なので、フィーチャーフォンがほしいな、とあちこちの通信キャリアを見てみたのですが、機種がとても少なくてびっくりしました。ほとんどスマホ。半々ですらなく、九割以上スマホという印象です。

携帯電話は、二つ折りせず、まっすぐな形が好きです。固定電話の子機のような。でもそうなると、片手で数えられるほど選択肢が減ります。これはどうしたものだろう……と弱りつつ、2年契約が来月で切れるので、少ない選択肢の中から(あるいは二つ折りタイプもやむなしか)、できるなら実物を確かめて、使いやすそうなものにしようと思います。

NOKIAが好きです↑(これは以前使っていたもの)

今年をふりかえって、わが家に出迎えることができてよかったな、と思えるのは、漆のものです。いま出ている『天然生活』でがっつり書いていますが、角俊弥さんの漆の椀は、やってきてくれてありがとう、と言いたくなる器です。そして1月に、家族みんなの箸を漆の塗り箸にしたのですが、毎日毎食使い終えて流しで洗って拭くたびに、やはりしみじみとうれしくなっています。

ものを選ぶって、なんだろう? とふと考えて立ち止まってしまいます。ほんの数年前に買ったスマホが、いまではすっかり型落ちした使えないもの扱いされているのに比べて、角さんの漆の椀は、朴の木にたっぷりと漆を吸わせて作ってあるので、数年後には鉄のように硬く丈夫になって、何十年でも百年でも大事に使い続けられるものです。

万年筆を愛用するようになって、それと同じことを感じるのですが、3ヶ月ほど使い続けた万年筆は、自分の書き癖になじんで、すっと書きやすく変わってくれます。もしもスマホと同じ値段の万年筆を選んだとしたら、数年で型落ちする、なんてことはなく、十年以上(場合によっては一生ものにもなって)自分だけの筆記具として働いてくれます。

長く使い込むほど、味わいが出て、使いやすくなって、愛着も湧いてくるような、そんな人とものとの付き合い方が好きです。

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11月

2018.11.20火

タイムトンネル

ずいぶん間隔があいてしまいましたが、みなさんお元気でしたか。

もう何から書けばいいかわからないぐらいですが、あれこれありました。

島の月が、今夜は半月よりややふくらんで、うっすら霞がかって、まるで秋のはじまりの頃のようでした。すすきもようやく咲いて、穂がたなびいています。もう立冬を迎えていますが、沖縄の風景はそのようなものでした。

年末までに、また更新できるといいな。いま誰が、ここのページを覗きに来てくれてるんだろ。次回は詩に関するお知らせができそうです。

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6月

2018.6.22金

近況

6/20発売の『天然生活』8月号で、連載エッセイ「手しごと歳時記」の第6回七夕×芭蕉布を書きました。芭蕉布作家の大城あやさんのこと。

大城さんと初めてご一緒したのは、沖縄で開いた山之口貘の展覧会のときでした。貘さんの詩「芭蕉布」とともに。
つづいて、拙著『島の風は、季節の名前。 旧暦と暮らす沖縄』で、彼女の芭蕉布のことを書いたのですが、まだまだ書ききれないことばかりで、今回そのつづきをようやく、という思いです(それでもまだまだ書き足りないことばかりですが)。

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そして、いま発売中の『PHPスペシャル』7月号では、「7月の記憶」という一文を寄せています。
今年の1月からはじまった連載もこれで7回目。折り返しをすぎて、前半の半年とはちょっと内容が変わってきたかも、と個人的に感じています(発売より原稿が少し先なので、いまは9月号の分まで書き上げましたが、7、8、9月と連なって、ああ、6月までとはずいぶん感じが変わったな、と。春に担当の編集者さんと京都で初めてお目にかかって、とてもとても楽しくお話をして帰ってきたら、書くものが変わった感じです。あの人が待っていてくれるなら、じゃあ、こんなことも書いていいかも、こんなのはどうだろうかと、顔が見える関係性って、書くものにも影響してくるのだな、とふしぎですが、実感しています)。

7月号では、神楽坂に住んでいたころの思い出を書きました。第一詩集に、まんまそのできごとについて書いた詩が入っているのですが、今回はそのことをエッセイにして。もしお手元にあったら、詩集も読んでみてください。ああ、これか、とすぐわかってしまいそうですけれども。

斉藤知子さんの挿画、青いバケツがかわいくて。ぜひご覧ください。

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『こどものとも(年長向け)』の付録冊子「絵本のたのしみ」に寄せている「季節のうたごよみ」ですが、いまは7月号の絵本が出ているかと思います。夏の川遊びのことを描いた素敵な絵本。その絵本に差し挟まれた小さな冊子に、ぼくたち家族が沖縄に越してきて、最初に迎えた夏のことを書いています。

ぼく自身が幼いころ、毎月届く「こどものとも」を楽しみにして育ったんです。母や父が読んでくれて、妹といっしょになんども同じ絵本を読んでもらったりしていました。「かがくのとも」も毎月いっしょに。

そのころから、絵本に挟まっている冊子はあったと思うんです。幼い身としては、ああ、これは大人が読む物なんだな、と感じつつ、母が静かに読んでいるのをはたで見ていたような、おぼろな記憶がありますが、定かではありません。

なので、あの付録冊子に書くんだ、と思うと、どこかで絵本を手にとってくださっているおかあさん、おとうさんのことを頭に思い浮かべながら、書いています。ぼくが親になって、子育てはなにもかも初めてのことだらけで、いっしょけんめいでしたが、ほんとうにたいへんでした。こどもが寝たあとに、ちょっとでもやすまる時間が訪れれば、その一助になれば、という気持ちで書いています。

挿画を描いてくださっているカシワイさんの絵が、そんな育児に四苦八苦していたころをなつかしく思い出させてくれるような、家族の時間をあたたかく浮かびあがらせてくれるような。

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なんだか、たまにしか更新しないのであれですが、こうして日々の記をここに書きつけていると、だんだん文章が長くなってきますね。うーんん。。とりとめもなく、もう少し書いてしまおう。

今日は友人の誕生日です。学生時代からなので、かれこれ四半世紀以上……。おおぉ……。そいつがホームページを作ったのがきっかけで、それで影響を受けてじぶんでもたちあげたのが、この無名小説なんです。2002年の1月20日から21日にかけての夜のことでした。ときたまにしか更新しないけど、おそらくいまもここを読んでくれてると思うので、メールする代わりに、ここで書いとこう。

おーい、誕生日おめでとー!!!

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新刊『一日の言葉、一生の言葉』と『オルガン』13号の刊行記念イベントは、とっても楽しかったです。鴇田さんも福田さんも、人間として尊敬できる、素晴らしい俳人です。もちろん俳句も最高にかっこいい。会には、子規に造詣の深い橋本直さんもいらしてくださり、二次会ではまた深いお話をうかがうことができました。番組収録で飛騨までロケに行っていた田島さん、宮浮ウんも二次会に駆けつけてくださって、すぅごく楽しかった〜。

そして、やっぱり、宮本さんという俳人に、この現代に出会えたことが、こうした素晴らしい数々の楽しみ、よろこびのはじまりなんですよね。宮本さんの俳句の世界は、深く深く、あまりにも惹かれて、宇宙を見上げるような気持ちになります。

この人の句に出会えたおかげで開かれていった世界の、なんて広いこと。それはこれからも広がって、つづいていくような気がします。子規の時代の句たちが世界を広げてくれたように、現代俳句の豊穣な、読むよろこびを手渡された思いです。

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3月

2018.3.4日

近況

昨年十一月の日々の記で「新しい本を書いています。長い長い本(自分にとっては)。」と書いたけれど、年明け一月半までかけて初稿を書き上げた。それから神楽坂で展覧会などして、二月に沖縄に戻ってから、また籠ってひたすら原稿の推敲をしているところ。今月半には、推敲を終えて、ゲラにしてもらう予定。あと十日くらい、かな。初夏に刊行の予定です。ドウカデキアガリマスヨウニ…。

毎月10日発売の『PHPスペシャル』で、連載エッセイ「◯月の記憶」を書いています。今月は4月号なので「四月の記憶」。ほのぼのとした挿画を、斉藤知子さんに描いていただいています。ふしぎな懐かしさのような。

また、おかげさまで『こどものとも(年長版)』の付録冊子で一年間連載してきた「季節のうたごよみ」の、来年一年間の延長も決まりました。ひきつづき、新しい年度もどうぞよろしくお願いします。挿画もひきつづき、カシワイさんに描いていただいています。毎回おおっという連続で、自分自身楽しみです。

それから、毎月20日発売の『天然生活』で、新連載「手しごと歳時記」がはじまりました。いま出ているのは、2月20日発売号で、万年筆調整のフルハルター 森山信彦さんのことを書いています。ぼくが愛用している万年筆のペン先を研いでくださっているかたです。ぜひご一読ください。

二月はいったん島に帰ってきたあと、数日をおいて、また上京していた。康本雅子さんのソロ公演「子ら子ら」。貞久秀紀さんの近代文学館での朗読と対談。松下育男さんの、初心者のための詩の書き方教室への見学。と、二月の連休に思いきり、自分のための栄養分を吸収することができた。
康本さんのダンスは素晴らしく、魂からふるえる。
貞久さんとは久しぶりに、催しのあと、夜更けまで詩の話をすることができた。
松下さんの詩の教室は、松下さんの読みの深み、一時から六時まで一切気を抜かないで、ひとりひとりの詩へ語りかける情熱と集中力、二次会を含めてうかがえた詩の話……。
とても濃密な時間を過ごすことができて、得るものが大きかった。そしてまた、島へ戻り、ひとり原稿と向き合う時間。じゅうぶんに心は刺激を受けて、喜びの持続するまま、このところ過ごしています。

もう三月に入ってしまったけれど、一月は県立芸大で、芸術学科の一年生に今年も詩の実技研究を道案内してきた。学生たちは打てば響き、雨後の筍のようにすくすくのびる。そのさまを毎年こうして、目の当たりにできることは、きっとこれも喜びだと感じる。

ひたすら、神楽坂での旧暦展は、怒涛の毎日だった。展覧会は自分自身、思いもよらない合作を、沙羅さん、角さんと作ることができてとても幸せな時間を過ごせた。オリジナルノート「ことほぎノート」の製作に力を貸してくださった、美篶堂さん、嘉瑞工房さんに感謝です。
イベントは大盛況で、omotoの鈴木智子さん、俳人の宮本佳世乃さん、雑穀の種まき人の大城千春さんをはじめ、司会に入ってくださった、天然生活の編集Kさん、現代詩手帖の編集長Fさんにはとてもお世話になりました。そして、毎晩灯した和ろうそくの明かりが、みんなの心をぐっと近づけてくれた。これも毎年恒例、大與の大西さんのおかげです。
フラスコさんでの八年目の展覧会も、どうにかこうにか無事開催することができました。皆様、どうもありがとうございました。

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