呼ぶ風








  時々、本当に、この世の中がやりきれなくなる。
  ひどいことを、平気でする者がいる。
  一生懸命生きようとしている人がなぜ……
  答えは分かっている。
  この世界は、そうだからだ。
  だれもが、強者で、弱者で、
  踏んでは、踏まれている!!
  なぜ
  と、だが思う。思わずにはいられない。
  許せない
  と、握る拳は空虚だ。
  ふざけるな
  と、怒って、ではその怒りはどこへ向かうのかと
  その怒りは、だが、空虚では終らない。
  誰かを想う、
  遠い場処の誰かを想う、
  その想い故の怒りは、消えずに、
  世界を変える、風を呼ぶ。
  風は、吹き続けているのだ。
  風は、風を呼ぶ者に、応えるのだ。
  ゆるせない、ふざけるな、と
  誰かが誰かを想って、昂ぶる、その心が風を呼ぶのだ。
  そして、世界を洗ってゆけ。