小景色








かあさんがとおくに映ってみえる

背負っているのは何の種だろか

蜂の種だろか

かあさんが前かがみにしゃがみこむ

見入るものは何の井戸だろか

決して見てはいけないと言った

覗き込んで落ち入ったなら

誰もお前を助けには来ぬと、

あれは?

かあさんはやはり落ち入ってったね

井戸の奥の底ない限りへ彼女が沈んだ

途端全ては笑いの彼方へ

なぞなぞをどうして放ぅっとかない

朝をどうして止めてやくれない

かあさんがそこで留まっている間

肝は逆さに回り続けているんだろうから

少しも見上げたりなどしないでいる内に

誰も貴女を助けにゃ来ぬと

毒づいてくれろ毒づいてくれろ