コロッケ








  坂をくだっていくとある
  ロイヤルホストを横断歩道わたって前に
  お肉屋さんにコロッケ買いに行ってみたら
  創業以来変わらぬ味
  なんてかメンチカツが隣りにあって
  一緒に袋に入れてもらって
  そのまま坂をおりてって
  大通りわたって
  橋もわたって
  線路沿い並木のベンチで
  食べっか、て歩いてって
  ああでも雨上がり
  いっかここで、て
  橋のうえへ
  戻って袋から
  まずコロッケをつまんでひっぱら
  れたコロッケは
  やわらかいジャガイモ
  すくないひき肉
  なんてか当たり前で
  これがコロッケなんだよなァ、て
  味したのは
  そんなん何より
  衣のおかげ
  もちもち、てして舌のうえで解け
  あ、て云うま
  指先に付いた衣カスなめて
  メンチカツの方ひっぱり出す時
  ぶんぶんぶん音がするから
  空をヘリコプタァが二体、もう一体
  保育園児のお昼休みみたく
  空をとびちらかってるその合間
  紙ひこうきみたいに
  よく飛ぶ鳩が
  千秋楽の座布団てみたく
  あちこち舞って
  もちもちしてる衣からあふれる
  熱いまま頬ばって
  袋を畳み
  手提げにポッケに挿しいれ
  コーヒーを飲みに
  本読みに
  紅茶でもいいし
  屋根のしたくぐって入ってった