かいつぶり







  音のすきまから
  出てきた
  電気は
  机の脇を通って
  ぼくのスリッパに当たる

  電気は
  ぼくを目覚めさせて
  首の後ろから
  抜けていく

  開いていた
  戸をくぐって
  アイロン台をめがけ
  電気は飛ぶ
  アイロンを
  熱くすると
  TVのブラウン管へ
  笑い声となって
  入っていく

  部屋じゅうが
  電気のせいで
  熱く熱くなる
  パソコンのファンが
  回り始める
  上着のボタンが
  勝手にとれる

  ああ蛍光灯を
  換えなくちゃ
  、てぼくが
  二、三回手をたたくと
  ようやくちゃぶ台は
  電気のほんとうの
  名まえをおしえてくれた