ちいさな しろい かけらを ひらった
おもいも かけない 旅先の話
前の前の日 神社で もらった
幸せ笹が きいたのか
前の日の夜 ごちそうされた
おでん 地酒の熱燗 のおかげか
しろい かけらは すっくと立って
おどろく こっちを よろこんでみてた
ひらって ポケットに 入れて
も一度 出して 胸の内ポケットに しまい直し
あったためて あったかかくして
一週間が すぎてった
しろい かけらは ちいさなまま
だんだん 熱を おびてきて
月浴び 日映え
夜歩き 昼想い
電子の網のうえで 躍って
やがて 胸ポケットを
あったたかく あったかかく
膨張させた
手を うえから 乗せてみる
あったたかい
そ、て とり出し
頬に あててみる
あったかかい
そうして ちいさな しろい かけらと
過ごす 日々
冷たい 夜も
冷たい 昼も
冷たい 言葉も
冷たい 雨も
過ごす 日々
ちいさな しろい かけらを よぶ
声のない 声が こだまする
ひらったときと 同んなし ちいささ
さわってみると おどろく 熱
こんな ちいさな しろい かけらを
なにが どうして
熱せているのか
こだまする 声のない 声に
左肩を 澄ませてみる
何も ききとれない かったり
ほんの すこしたけ きこえたりして
熱の理由は よく 分からない
そうして やがて だんだんに
ちいさな しろい かけらの ことを
もっと 気になて
もっと 知りて
、て 思えてしまい
つい 胸ポケットから とり出して
ながめつ ながめつ
あったたかさを にぎってる ときが
ふえてきて
ほんの ほんの すこしかも 知れない
ちいさな しろい かけらは ゆっくり
声のない 声で すこしたけ
秘密について 知らせてくる
熱のこと どうして熱をおびててるか のこと
話しおえると ちいさな しろい かけらは
ほんの すこしたけ オレンジか混ざった、て きてみえた
ピンクのもやけが かけらの 表面に
浮かんできた に みえてもきた
そして 気づいた
すこしか もすこしか あとちょっとだけもちょっとか
ちいさな しろい かけらは
ふるえている そうだった
ほとんど 意味の とれなかった
声のない 声
じっと みていて でも今まで気づかなかった
微かに ふるえ
てのひらに ちいさな しろいかけらの
ふるえて 伝えようと してきているのを
も一度 胸ポケットにしまう
あったたかい あったかかい
胸になる
秘密の熱を 胸に しまい
ちいさな しろい かけらを ひらった日のことを
おもい 今日へかえる
明日へかえる