.











  それは点の様な物であり、
  今は未だ勿論カタチになっていない。
  けれどその点の様な物が在る事が、
  私は嬉しい。
  よくみると点の様な物には
  色がついている。
  黄色が広く占め
  緑、青、橙、白の点滅……
  と続いている
  そうした細かなドットを集めて出来上がっている
  点の様な物は、
  微かに震え
  又 飛び跳ねている
  私が息を詰めてみれば
  震え
  おお
  とみあげてみると
  飛び跳ねる
  点の様な物は手にとると手の中にあって
  目を細めるとはるか遠くにあって
  だが、静かに、こころのなかを観察する
  すると、ある、そこ ここ あそこ どこかに
  ある
  だから その点の様な物へは
  ただ凝っと こころを傾けて
  耳を澄ましていよう そうしよう
  やがて点の様である今の物が
  何がしかへ姿を変え、
  今は色としてだけみえているカラフルな模様
  ないし色の集合は
  ゆるやかに広がりを持ちはじめ、
  そっと静かにか ぽん、て軽い発音と一緒に
  目覚めうるかも知れない
  そうなのだから
  今は未だ芽でなく種でない
  点の様な物にとどまっている
  点の様な物が
  やがて動き出す時がくるまで
  息を詰め
  またみあげ
  点の様なそれを震わせまた飛び跳ねさせ
  そして私のこころの中で
  存分に遊ばせてやろうのだ
  点の様な物、
  あるのが今は
  ありがとう
  だれにかだれにも
  感謝ばかりしてはしてはしてはする
  感謝ばかりする夜があり、
  夜 感謝し続け 町を歩き
  ビルを越し、
  通りに沿い歩き、
  それがあることが次第に感じられて来、
  家迄帰ってその階段の手前へ来て
  ああ俺は今、
  この何かが降って
  浸み込んで体中に行き渡った様な
  感覚で
  点である様な物の存在をおもい起こさせられた
  遠くにみれば遠く
  近いとみれば近い
  点の様な物は今 そこ
  ここ あちら どちらか にあり
  私へつながり出し息づいている
  芽吹こうとしている
  開こうとしている
  飛び跳ね 震え 飛び跳ね 震え
  飛び跳ね 震え そして
  今はまだ点の様な物として
  私といる