身辺が身の回りということなら
   心辺というのは心の回りということだとして
   そうした心辺について









  心の奥底にあるぼくの大地に
  いま風が吹きはじめている
  たえなる風が
  まっしぐらな風が
  なにものにも止められることなく
  信じるものに向かって吹く風よ
  ぼくの大地を通っていく
  通り過ぎるのでなく
  風通っていく
  風通り続けてくれている
  ぼくの大地に生えている
  すべての木々は歓迎する
  風を
  木々の間をぬって風は
  大地の奥の泉に吹き込む
  その泉に訪れてくる者はそうない
  風よ
  何故とはきかない
  それは当たり前のことだから
  ここへ来たかそうだと思っていたと
  ここまで来る力がお前には満ち満ちているよと
  風よ
  吹き抜けていく風よ
  お前はお前の道を行くなかここを必ず通っていく者になるのか
  そう
  それがお前の選んだ道ならそれがお前の道になるだろう
  じゃあぼくの大地よ
  お前のうえを駆けぬけている
  木々を鳴らし泉を洗う風を
  お前は感じているか
  奥ふかく
  心の大地の奥ふかくのたましいの奥の奥の大地
  風が吹いている
  この時
  大地よお前は何を感じている何をのぞんでいる何を抱いている
  時の満ちるのを待っているそれは知っている
  風はまだ微風なのだ
  風もまた微風であるのだ
  風もまた平原をもとめ草原をさがし野原をかけめぐり
  そうかここへ来たのかそうだそうか
  まだ微風であるのか
  その微風でもうすでにそうまで青々とつよくそしてやさしいであるのか
  大地に心の大地の奥ふかくのたましいの奥の奥の大地に
  吹き込んできている風よ
  大地はお前を感じているよ
  いくらお前が明るい光をまとって明るい響きを伴って明るい気持ちで笑っていようとも
  それがどんなに青々としてつよくやさしいく元気であっても
  お前のその風がまだ微風であるのだと
  感じているよ
  そうであってほしい
  ねえ?なんて言うかい?言うんだ
  言わせてほしい
  ねえ?
  微風ではないかい
  お前は微風としていまここへ吹き込んできた
  微風のくせにすごい勢いで
  大地を巻き込み大空へ飛ばそうなんて
  大地を吹き飛ばし大空へ運ぼうと
  いますごい勢いだ
  大地はここにいると思う
  風よ吹け来いと黙って構えを解いていると思う
  開いていると思う
  声をまっすぐに晴らすと思う
  風よ
  本当の風よ
  大地へ来い
  届くのか
  響いてるのか
  大地よ
  風を包め受け止め乗れ
  大地もまだまだちっこい
  そんなちっこい大地でたましいを眺めるな
  風が吹いてくれる
  大地をあらわにしてくれる
  地と風はぶつかりこすれ合い風鳴りを起こし
  やむことなくくり返し
  互いに互いをまかせ問い見つめ知り求め混ざりつよめ磨き合いはじめるだろう
  大地はまだちっこい地だ
  風はまだかすかな微風だ
  風は届きだしている
  大地は動きだしている
  大地は風を迎える
  こんなちっこい大地を風よ
  吹きはらって洗ってもっと
  もっともっとと大きな地へと
  かけぬけぶつかり磨いてくれ
  お前が大きな風となり吹きかけぬけるその時お前をすきにつっぱしらせる
  おおきなおおきな大地になれーと
  おおきなおおきな大地がのぞみはそれか
  風ののぞみよそのために大地はここにいる
  おれはお前を容れる